皆さん、こんにちは!ふりむーです。
最近はめちゃくちゃ暑いですね。
ふりむーは毎日、汗を激流のようにかきながら、出勤しています。
なので、職場に着いたら、すぐに着替える始末です……。
(テレワークどこいった……)
はい。
今回は、国会議員が出す質問主意書とそれを対応する国家公務員の実務について、述べていきたいと思います。国家公務員にとっては、大変重要な業務となりますので、ぜひ、読んでいってください。
質問主意書とは?
質問主意書とは、国会法第74条に基づき、国会議員が内閣に対し質問する際の文書です。
第七十四条 各議院の議員が、内閣に質問しようとするときは、議長の承認を要する。
② 質問は、簡明な主意書を作り、これを議長に提出しなければならない。
③ 議長の承認しなかつた質問について、その議員から異議を申し立てたときは、議長は、討論を用いないで、議院に諮らなければならない。
④ 議長又は議院の承認しなかつた質問について、その議員から要求があつたときは、議長は、その主意書を会議録に掲載する。
国会法(昭和二十二年法律第七十九号)より抜粋
この質問主意書を使って、国会議員は内閣に対し、政策などについて質問するのです。質問の範囲は、国会法を読む限りは、限定されていませんので、何でも質問できてしまいます。
ちなみに、同法第74条には、「簡明な主意書」とありますが、非常に長い主意書ばっかりです。
しかも、ほとんどの主意書は、質問の背景が非常に長く、肝心の質問内容は抽象的な表現が多いことから、読解が大変困難です。
実際に、どのような質問主意書が出されているかは、衆議院や参議院のHPにいけば、閲覧できますので気になる方はみにいっていただければと思います。
質問主意書を内閣が受領すると、同法第75条に基づき、主意書を受け取った日からたった7日以内で答弁書案(質問に対する回答案)を作成し、閣議決定させないといけません。
第七十五条 議長又は議院の承認した質問については、議長がその主意書を内閣に転送する。
② 内閣は、質問主意書を受け取つた日から七日以内に答弁をしなければならない。その期間内に答弁をすることができないときは、その理由及び答弁をすることができる期限を明示することを要する。
国会法(昭和二十二年法律第七十九号)より抜粋
一見、「7日以内」は余裕だと思われるかもしれませんが、答弁書案を閣議決定させるには、非常に面倒かつ複雑な手続きを踏む必要があるため、本当に余裕がありません。
自身の部署が質問主意書に当たると、今やっているすべての業務をストップさせて、答弁書案作成に全力を注ぐほどです。
なお、同法第75条第2項には延長ができるとされていますが、延長が認めれることは、ほぼありません。延長理由を考える時間があるなら、最初から答弁書案を作成しろって感じです。
質問主意書に対する国家公務員の実務について
それでは、ここからは、質問主意書に対する国家公務員の実務について述べていきます。
質問主意書が当たった際の実務全体の流れを、以下に簡単に示します。
- 質問主意書が届く。
- 各質問を担当する省庁の割り振り協議が始まる。
- 割り振り省庁及びとりまとめ省庁(閣議への主請議省庁)を確定する。
- 担当部分の答弁書案及び7.の審査時に提出する参考資料を作成する。
- 課内クリア、局内クリア、官房総務課クリアをとる。
- 複数の省庁で答弁書案を作成している場合は、関係省庁に合議をかける。
- 合議後、とりまとめ省庁は、各省庁の答弁書案をとりまとめて、内閣法制局による答弁内容審査・内閣総務官室による配字審査を受ける。
- 審査完了後、とりまとめ省庁は、閣議請議するための省内決裁をとる。
- 閣議日2営業日前に、閣議請議(内閣総務官室に答弁書を持ち込む。)を行う。
- 閣議決定し、国会に提出する。
2.の割り振り協議(各質問に対する答弁書案作成省庁を決める協議)は、1時間以内で決着させないといけません。
この1時間以内は、国会内にある某部署→担当省庁官房総務課→局・部総務課→担当課という情報伝達を含めての1時間以内です。
実際、末端の担当課で、当たった質問主意書について担当すべきどうかを検討・判断する時間は10分もありません。
協議に係る回答期限を過ぎてしまうと、その質問主意書に対する回答省庁として、たとえ多少不適切だとしても、答弁書案を作成しなければなりません。
さらに、一度、担当してしまうと、今後も、類似した内容の質問主意書について、回答省庁になってしまう可能性があります。
したがいまして、割り振り協議は非常に重要であるため、最優先かつ迅速に対応しましょう。
なお、割り振り協議は、最初に割り振りの素案が送られてきます。当該案を覆すには、根拠規定等を用いて反論する必要があります(例えば、「組織令上、所管していない。」、「この質問についてはA省が〇〇事業を行っていることから、A省がメインで答弁書案を書くべきだ。」など)。
答弁書案作成の留意点
答弁書案を作成するにあたっては、以下の点を意識すれば、及第点はとれると思います。
- 検討中内容などまだ公開していない情報は、絶対に書かない。
- 質問の意図が明確でない場合、「〇〇の意味するところが必ずしも明らかではないが、……」と断りをいれてから回答する。
- 過去の答弁書の用例を駆使して、作成する。
- 過去及び類似の答弁書及び国会答弁と矛盾が生じないようにする。
- 原則1頁13行、1行あたり48文字で作成する。
- 内閣法制局・内閣総務官室の審査時に提出する答弁書案の参考資料は、とにかく分かりやすさを重視して作成する。
特に、2.は重要です。質問者(国会議員)の意図と全く異なる回答をしてしまうおそれがありますので、きちんと、「〇〇の意味するところが必ずしも明らかではないが、……」と断りを入れてから回答しましょう。
さいごに
質問主意書対応は、絶対に甘くみてはいけません。
誤った答弁書を作成してしまった場合、リカバリーには、答弁書作成の倍以上の労力を要します。
質問者(国会議員)への謝罪はもちろん、官邸や国会にも報告しないといけません。
また、質問者に激怒され、議運理事会に吊るしあげられてしまうと、副長官や担当部局の局長等が対応することになるため、副長官等用の想定問答作成や関係者への根回しの対応も生じます。
したがいまして、質問主意書対応は真摯かつ丁寧に対応しましょう。
一方で、誤りはめったに生じません。
「質問主意書対応の流れ」で読んでいただいたとおり、1つの答弁書を作成するにあたっては、多くの方々が関わっていることから、誤りがあれば、必ずどこかで指摘が入ります。
省内では上司達からガンガン詰められますし、内閣法制局の審査は厳しいことから、答弁内容が誤る可能性は低いと思います。
答弁書案作成担当者は、失敗をおそれず、速やかに第一案を書き上げてください。
国家公務員である以上、質問主意書対応は避けて通れません。どんどん経験して、慣れていきましょう!!
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